【K’z Tylerインタビュー】迷いと孤独が導く“自分”の光“ ——ソロ1st、2ndシングルを生んだ葛藤

【K’z Tylerインタビュー】 「迷いと孤独が導く ”自分の光“」—ソロ1st、2ndシングルを生んだ葛藤

沖縄出身アーティスト/プロデューサー・K’z Tyler—— Alternative Hiphop Crew 9treeとしての活動を経て、2025年より本格的にソロ活動を開始。1st、2ndと“連続”してリリースしたシングル制作の裏側には、これまで言葉にしてこなかった孤独と迷い。自問自答を繰り返し、導いた“光”とは。

「孤独の暗闇の中でこそ、気づける事や見えるモノってあると思うんです。」 

——沖縄出身のアーティスト・プロデューサーであり、Alternative Hip-Hop Crew・9treeの主宰 / メンバーとして活動してきたK’z Tyler。各地での音楽フェス出演や能登復興に向けたチャリティソングプロジェクトなどを経て、2025年から本格的にソロ活動をスタートし、リリースを重ねている。

自ら舵を取りまわりを巻き込みながら進む姿はまるで竜巻のよう。しかし、言葉の選び方や時折見せるハニカミからは、不思議なほどの優しさがにじみ出る。

今年公開した2曲「Ashes Bloom」「Don’t Lose」には、これまで以上に孤独や矛盾、そして自分への問いが巡る“葛藤”が刻まれている。アーティストとして、そして一人の人間として揺れる心情がもたらすのは、「どう生きるのか」という普遍的な問いだ。

人間として誰もが抱く迷いや孤独を、光とするのか、闇とするのか。K’z Tylerが自らを見つめ、悩み、問いを重ねながら進む軌道とは。

模索しながらも進むために必要なこと、彼を導くもの、燃え続ける魂そのものに迫る対談。

優しくあるほど、苦しくなるときがある、苦しめているときもある

——まずは、1st シングル “Ashes Bloom” の出だしですが「迷路」という言葉を選んだ理由や、込められている想いが気になりました。いくつかある選択肢から選ぶ、というよりかは、選択肢を見つけたいけど見つけたらいいのかわからないというような「葛藤」を振り返っているように感じます。

K’z Tyler:去年、自分の中で大事な決断をする機会がたくさんあって。9tree¹(所属している音楽ユニット)の休止もそうだし、他にも自分にとってかなり大きな出来事がありました。

覚悟を決めて決断をしないといけない状況になって、いろいろと考えた中で決めたんですけど「その道が正しいのかどうか」「その選択肢を選んだことで誰かを傷つけたんじゃないのか」とか、そういった葛藤を抱えている時期がありました。

それもありここ一年くらい、日常を過ごしている中でもどこかずっと「迷路」にいる感覚があって。

その迷路から抜け出すために1st Singleを書きました。「何を背負ってどう生きていくか」とか、これから目指す場所や生き方についてすごく考えた一年だったと思います。

K’z Tyler-ashes bloom

——9treeの休止タイミングでは、作りたい楽曲のイメージはついていたんでしょうか?

K’z Tyler:“Ashes Bloom”を書き始めたのは、休止後ですね。なんとなく「こういう楽曲を作ろう」というイメージまではついていたんですが、1stシングルはやっぱり自分の中ですごく大事だったから、「どんな言葉や音楽がいいだろう」っていうのをずっと探していました。

何曲かソロの曲を作っていても「一番最初に出す曲はこれでいいのか?」って自問自答していましたね。これまでは9treeとしてやることしか考えていなかったし、ソロに対する不安もありました。

——9treeとして活動していた時を振り返って、どんな自分を思い出しますか?当時はどんな問いかけをしたり、書いたりすることが多かったでしょうか?

K’z Tyler:9treeは3人ユニットなので、お互いの好きな音楽や個性の部分をどうバランスをとって作品にするか、という部分はかなり考えていました。「9treeで上がるためにどう動いていくべきか」とか、あの時は基本なんでも9treeベースで考えていたと思います。

だからこそ、ソロとしてやりたいことや自分のカラーをあまり考える機会がなかった。ただ、あまり人に言ってこなかった部分を出したいなとは元々思っていました。

ありがたいことに、9treeの活動を始めてからは毎週LIVEがあったり、常に何かしら動いていました。やっと余白を生み出せた感じです。

——人に言ってこなかった部分とは、例えばどんなことでしょうか。

K’z Tyler-ashes bloom

K’z Tyler:プライベートなテーマとか、1人でいるときによく考える事とかですかね。僕は平和主義である分、人を傷つけたくないから本音を隠す時もあったり、気を遣いすぎてしまう時があります。これまでいつの間にか自分を押し殺していたり、窮屈に感じることもけっこうありました。

でも、それって一見優しいようでいて、最終的には「自分が傷つきたくない」という側面もあるんだろうなって気付いて。

自分の葛藤とか弱みって、普段なかなか話さないじゃないですか。音楽は自分にとって、ある種本音を伝えるための手段であり、吐き口でもある。

音楽という形にすれば歌詞として感情を消化しやすいし、Lyricに落とし込んでこそ、やっとスッキリできる時があります。

音楽だけじゃなく日常生活においても、自分の言いたいことを伝えるように少しずつ変わってきています。いろんな人と接するなかで「俺本来の生き方ってなんだろう?」というのは、今も考える大きなテーマですね。

——そんな葛藤のなかで自分自身に問いかけをした後は、どんな結論が出るんでしょうか?

K’z Tyler: 結論に至っているようで、至っていなくて。まだちゃんとした答えは出ていないです。今は一個ずつチャレンジして、失敗して、成功してっていう繰り返しの状態です。

——『ごまかしてはたまに笑ってる。愛してるんだって、なのに怖がってる」は、誰かへの優しさや、愛のような想いがある一方で、自分は押し殺してるという苦しみを感じたフレーズです。この交差するような一節は、どんなところから生まれたものでしょうか? 

K’z Tyler:例えば、みんなでいる空間は楽しいけど、無理して合わせて“楽しんでいるふり”をして笑っている時ってあるじゃないですか。特に自分は、人を見ちゃうし、見えちゃう。

自分は、良くも悪くも「合わせる」のが得意だと思います。新しい環境に馴染みやすかったり、いろんなタイプの人と仲良くなりやすい。一方で、深い関係を築く時や、大事な局面では、それが弱みになったりする。

そういう時は合わせることが「相手のため」になっているようでなっていなかったり、相手にも、自分のためにもなってないなって感じる時があったりするんですよね。

そういう時って『ごまかして笑ってるな』って。

K’z Tyler-ashes bloom

——二面性がかなり客観的に表現されていますね。もともとそのような性質を持っているんでしょうか。

K’z Tyler:なんで自分にこういう気質があるんだろうってずっと気になってたんですけど、この前納得できる話を聞いたんです。幼少期の家庭環境がその人の気質や性格に強く影響するっていう研究があって、特に”愛着”の性質とかは小さい頃に形づくられやすいらしく。もし本当にそうなら、自分の中にこういう気質がある理由に、腑に落ちる部分があるなって思いました。

もちろんそれが全てじゃなくて、遺伝や大人になってからの経験も大きいと思うんですけど、少なくとも「自分が弱いからこうなんだ」とかだけじゃなくて「背景があるからこういう気質になった」って捉えられると、ちょっと気持ちが楽になる人もいると思うんですよね。

ソロ活動を開始してからは、より「リアルで生きたい」という思いが強くなりました。

——本当に誰かのことを思う優しさが感じられるからこそ、つながりができたり、ファンがついてきたりすると思うんですよね。でも、その分だけ自分が苦しくなる瞬間もある。

K’z Tyler:誰しもそういう時ってあると思うんですよね、例えば、自分が好きな人に対しては、逆に言いたいことを言えないときってあるじゃないですか。恋愛や友人関係にかかわらず「この関係を壊したくない」とか「恥ずかしい」とか、そういった気持ちが働いて。

少し話は逸れるんですが、去年藤井風さんの「満ちてゆく」に救われた感覚があったんですよ。その歌詞に「愛されるために愛すのは悲劇」っていう言葉があって、本当にそうだなと。

無意識にそうなっていたことがあったなと気づかされたり、誰かへの優しさのようで、自分のエゴや執着があったのかもしれないって感じる瞬間があったり。「手放す」ことの大切さもそうだし、あの曲からはたくさん学びをもらいました。

——その気づきは、今の自分にどんな変化をもたらしていると感じますか?

K’z Tyler:いろんな出来事や感情に敏感になりました。それが逆に自分や人間関係の中で違和感を覚えると、以前よりもしんどいと感じる時はあります。でも、長い目で見ると、そう感じるのは成長のきっかけを見つけられたって事だし、プラスに捉えていこうって感じです。

本当の意味で無償の愛を与えられるようになるには、いろんなプロセスや壁を乗り越える必要があると思うんです。だから目を逸らさずに向き合うってスタンスは大事にしてます。

音楽を始めてからは、ピュアな友達が増えて、周りからいい影響をもらってるのですごく有難いです。僕が見てきたカッコいい先輩や憧れの人の共通点は、いつまでもピュアで、根底に大きな愛があることなんですよね。僕も、そういった見返りのない優しさや愛を与えられる男になりたいなと思います。

まだわからない。でも、“自分のために、誰かのためにも”進む

——楽曲の中では「光」「花」「遥か空」のような、ちょっと明るい言葉も散りばめられていますね。ソロで活動を始めてから、そんな「明るさ」を見つけた体験はありますか?

K’z Tyler: ソロで活動しはじめてからは、まだないですね。今も日々それを探している感じです。

これはずっと気持ちが落ちているとかではなくて、みんなといる時はめっちゃ楽しいし、バカふざけて飲んだりすることもある。でも、そのもっと奥にある「俺が求めているもの」——“理屈を超えた衝動”や”魂が震える瞬間”のような、もっと“光”を探しているような感覚です。

仲間達ともっと上がるためにも、貪欲に自分が目指すモノを突き詰める必要があるなって思ってます。

——ソロの楽曲では、ご自身についての深層の心理が表れている印象を受けます。9treeとして書いてた楽曲と今、どんな変化があると思いますか?

K’zTyler: 一番の違いは「より本音を言うようになったこと」ですね。もちろん9treeとしての楽曲も「本音」ではあったけど、少し文字を整えたり、かっこよくしたりしていた時もあったと思います。

今でもそういう部分は多少ありますが、より“自分の言葉”を追求するようになりました。後はやはり、より個人的なテーマだったり、プライベートな出来事から歌詞を書くことが増えましたね。

9treeでは、3人のテーマのバランスとか、歌詞のバランスを見て、一緒にいい作品にする。ソロでの楽曲では、より「自分の言葉」が色濃くでてくると思います。

——「本音」だけど、もしかしたら「本音じゃないかもしれない」っていう気づきが得られることって、会社員だとなかなか多くないと思います。

K’z Tyler:会社員っていう括りがどうってわけではないですが、アーティストをやっていなかったら、そういう考えになりにくい気がします。

アーティストは良くも悪くも、絶対深く自分と向き合わないといけない。その機会があるからこそ気づけることもあるし、その思考に割と慣れているのかもしれないです。

——たしかにそうですね。そんな自分に対しての「気づき」が増えるなかで、人との関係性や向き合い方に変化はありますか?

K’z Tyler:少し狭まって深くなった気がします。前は9treeで上がるためにも、シーンを知るためにもいろんな街や現場に行って多くの人と接するようにしてました。初めての街や人、自体に興味があるタイプだし、いろんなインスピレーションを吸収したかったから。

パーティーもめっちゃ好きで、遊びたい時もあるけど、今は深く自分と向き合う時間が必要だと思っています。

知り合いから誘いを受けて都内から湘南に引っ越してからは、友達とは少し会いづらい距離になったんです。でも、平日は自分と向き合いながら、週末に仲間と過ごすみたいな生活が、今は自分にとって一番調子よくなりそうだなと思っています。

みんなで派手に遊びたい日もあるので、“バランス”ですね。

——進みたい方向に進むために、誰かとのつながりは大切になりますよね。交友関係が変わったことで、自分の心には変化を感じますか?

K’z Tyler:わりとどんな人とでも仲良くできるほうだし、人のいいところを見つけるのは得意だと思うんです。

一方で、今は「なんか違うな」とか「ちょっと信頼できないな」といったことにも敏感になってきて、「じゃあ、俺はもう好きなやつと絡む!」みたいなスタンスになってきました。

——気を遣う性格が変わってきたり、気を遣わなければいけないと思うことも減ってきたんでしょうか?

K’z Tyler:少しずつ減ってきてるのかもしれない。もともと、まわりを見て楽しんでなさそうな人がいたら、ほっておけないというか、全員でいい空間を作りたいし、自分一人で楽しむよりもみんなで楽しみたい、みたいなタイプなんです。そのためにバランスをとって、いろんな役を担うっていうところがあります。

周りからは「バランス感覚いいよね」とか「よく見えてるね」っていわれることが割とあって、自分の強みではあると思うんですけど、同時に1アーティストで考えたときは、それが弱みになってるなって感じる時もあって。自分の中では、もっと何かを突出させたい。

何も気にせず大胆に生きている人や、いい意味で空気をぶち壊せる人に憧れる時はありますね。天真爛漫な人とかも。「そういう人になりたいな」って。ないものねだりだと思いますけど、アーティストになってからそう強く思うようになったのかもしれません。

K'z Tyler artist photo with CPO

ただ、最近ちょっと成長したなと思ったのは、まずは「俺はこれだから」っていうのを受け入れようって思うようになったこと。

気質とか性格を変えるのってかなり難しいと思うから、自分のパーソナリティを強みに活かそうって考えてます。こういう気質があるからこそ、届けられる何かがあると思うし、できる音楽があると思う。

「自分」を出せない時は、多分、自分に自信がない時だと思うんです。だからまずは、今できる小さいことから一個ずつやって、“確固たる自信”みたいなのをつけていこうって思っています。

そもそも「自分」って何?みたいなところから、見直してますね。

自分を受け入れた先に差す、柔らかい光

——1st シングルでは迷路の中にいるような「悩み」、2nd シングルでその悩みを抱えながら生きる「孤独」というようなつながりを感じました。

K’z Tyler:1stと2ndは「対」になっている感覚があって、あの順番でどうしても出したかったんです。

両方とも実は、自分にとって特別な人物に対して想ったことを中心に書いています。深く触れすぎると、聞いている人にもその人を連想させてしまう可能性があったので、余白を持たせて曖昧なニュアンスにしています。

K'z Tyler behind the scene ashes bloom

人って誰しもどこか孤独だと思うんですよ。心底理解し合うってかなり難しい。僕自身も孤独に感じる瞬間はあります。でも同時に、家族や仲間、環境に支えられて生きてる実感もあって。孤独ごと抱えてくれる関係や居場所はきっとあるはず。だから「あなたは1人じゃないよ」っていうのを伝えたかった。

一方で、孤独の暗闇の中でこそ、気づける事や見えるモノってあると思うんです。

自分の奥底にある本当の声って、そういう時にしか聞こえないんだろうなって最近よく感じてて。だから、苦しくても、敢えて孤独になる時間を作るのも、自分にとっては必要なプロセスだと思っています。孤立も恐れない強さを身につけたい。

今回の1st Singleでいうと、そんなにキャッチーなものではないし、リスナーが何回も聴いてくれるような曲ではないかなと思ってて。けど、それでもいい。この曲を、ソロとしての最初の作品として出すことに意味があると思っていたので、ひとまず形にできて良かったです。

1stのAshes Bloomは、ソロでリリースしてる作品では全部関わってくれている、BeatMakerのtheeluuと制作しています。自分のイメージを具現化してくれたtheeluuには、特に感謝していますね。

K'z Tyler cover design ashes bloom
1st Single K’z Tyler – 『Ashes Bloom』

——1st シングルの『あなたのためにも、俺は俺を生きる』っていう一節からは、「償い」のような優しさを感じると同時に、すごく強い意志が伝わりますね。

K’z Tyler:実はここ、けっこう迷いました。最初は『あなたの“ために”、俺は俺を生きる』って書いてたんですよね。

「あなたのために、俺は俺を生きる」っていう気持ちは実際強かったけど、“ために”っていう言葉には「責任」や「償い」の要素が強かったというか。そこで「いや、これだと俺その人のために生きて終わってしまうかも」って思ったんですよね。

みんな何かしら背負ってるモノがあると思うんですけど、ただ、最終的にはそれぞれの人生であって。だから、誰かの為にも生きるし、いろんな覚悟や責任も持つ。それでもやっぱり「俺は俺で生きたい」っていう気持ちがある。なので、そういうニュアンスも込めています。

人間はどこかで「自分のため」を考えていることが多いと思うし、それが健康だと思う。だから、綺麗ごとにはしたくない気持ちもありました。

自分のためにしっかり生きて、自分を愛せてこそ、相手に本当の意味でのGIVEができると思うので。

——『Don’t Lose』の『今を生きるwith alone』と『You are not alone』は両極端にも感じるけど、自分の中で共存しているのはリアルだなと感じます。この言葉はご自身でとらえていますか?

K’z Tyler:自分の中にも両方あるかなと思います。人はみんな矛盾を抱えているし、矛盾があるからこそ「人間らしい」。でも、矛盾って気持ち悪いし、その気持ち悪さを受け入れられなくて、拒否しちゃう時もあると思うんです。

今は、その矛盾を受け入れようとしているところです。「両方あっていいんだろうな」って思いながらも、やっぱり痒くなっちゃう時もありますが。

孤独を選んででも強くなりたいという思いと、本当はどこかで共鳴や人とのつながりを求めている部分。その両方が重なっている感覚というか。

K'z Tyler behind the scene Don't Lose

周りに支えられて生きているので、常に感謝の気持ちを忘れないよう心がけてはいるんですけど、そういった矛盾が自分の中にあったんだなって。

自分の大事な人に向けて書いた歌詞なんですけど、書き終わったら自分自身にも言い聞かせているような感覚になったんです。

外側の軸(誰かに向けた行動や思い)と、内側の軸(自分に対する課題や決意みたいなもの)。この両方を同時に書いてたんだなって思いました。

——人間の心の「矛盾」に気づいたからこそ、ここのフレーズが出てきたんですね。

K’z Tyler:ソロになってから一つ意識しているのは、「綺麗な答えじゃないもの」も出せるようにすること。 「解」や「答え」にたどり着かない状態でも、その「過程」にこそ何かしら意味があると思うんです。

その状態で作品を出すのは怖い。けど、だからこそ「人間らしさ」というか、共感してくれる人がいるんじゃないかなっていう思いでやっていますね。

——今のK’z Tylerさんにとって「自分を大切にする」「自分に対して優しくする」とは、どんな言葉・行為として捉えられますか?「エゴ」のように少し悪くも捉えられる言葉でもあると思います。

K’z Tyler:これまでの状況をふまえて考えると、「自分を受け入れること」かなと思います。これまではあんまりできてなかったけど、ほんのちょっとずつできるようになってきた。

気づけることも増えたし「あ、これ嫌だな」って思うことも、新しくわかるようになってきました。だから、自分を大切にする上で「受け入れる」がまず入口になるのかなと。

K'z Tyler cover design Don't Lose
2nd Single K’z Tyler & CPO – 『 Don’t Lose 』

——自分を受け入れたり、見つめるために、なにかやっていることはありますか?

K’z Tyler:日記をつけているんですが、今日感じたことや、自分ができたこと・できなかったことを、ちゃんと細かく見るようにすることですね 。

せっかく気づいたことも忘れちゃうから、一日の最後、眠る前に「今日なにか良かったことあったっけな?」ってもう一度思い出す。それを書き残すだけでも、自分の中で「いい一日だったな」って思えたりするんです。

情報が多すぎると、どうしても内側に向き合えなくなっちゃうから、意識的にひとりでいる時間や、自然の中で過ごす時間を作ることも大事だなって最近思いますね。

自分が思っている以上に、外側に意識が向いてしまっていることがあると思うので。。今こういう時代だからこそ、そのバランスをうまく取れる人が、自分を幸せにできるんだろうなって。

——苦しみを感じる度合い、感じ方は人によって違いますが、自分でコントロールできない状況が一番苦しいのかなと。本当はコントロールできることなのに、気付けないこともありますよね。

K’z Tyler:自分をコントロールするって難しいですよね。何か良くない出来事が起きた時、ネガティブなところを見がちだけど、もっといい側面があることを見失わないでほしい。これは自分自身にも言い聞かせています。

それでも落ちる時もあるし、見失う時や、大事なものを忘れてしまう時ってあると思う。そんな時に聴いてもらって、少しでも気づきというか、なにかのきっかけになるような音楽も創っていきたいです。

自分の中にある「一つの光」を輝かせるとき

——前半では、“理屈を超えた衝動”や”魂が震える瞬間”のような「光」の体験の追求について伺いました。迷いながらもまた新たに進むことができているのは、もともとの信念や、過去のご経験によるものでしょうか?

K’z Tyler:「光や明るさ」を見つけられた最近の体験は、2024年12月に能登半島地震の復興に向けたチャリティーイベント“燈”のLIVE²ですね。あの日のLIVEを通して「最終的には音楽で一つになるようなLIVEをしたい」という思いは、かなり強くなりました。

あの日は本当にすさまじかった。全員が心の底から一つになった、と言い切れるような感覚だったんですよ。みんなの能登への想いが音楽を通して1つの光になったように見えて。音楽だからこそ出来るモノ、生まれるモノがあるんだなと。音楽がつくる可能性が見えた日でした。これはLIVEをした僕たちだけじゃなくて、お客さんもみんな同じように言ってくれていて。

自分の母親も来ていたんですけど、「人生の中で、あなたを産んだ次に感動した」と言ってくれて嬉しかったですね。長く、能登の人達に届いて欲しいなと思っています。

——ソロとして、今後目指すところは?

K'z Tyler solo LIVE

K’z Tyler:一つ目指しているのは、映画の様なアルバムとかライブです。映画って、ずっとエモいシーンだけだとつまらなくなるし、カオスなシーンも激しいシーンも欲しくなったりすると思うんですけど、人生においてもそうだと思ってて。

現実をただ消費するんじゃなくて、一本の軸を持って生きる。挫折とか葛藤もシナリオの一部として捉えて進み続けられたら、最終的に何かが待ってると思う。

そうやって歩んでいけたら、その生き方自体が映画のようになるんだろうなって思います。

スタンスはどこまでいってもHiphopでいたい。ただ音楽性でいうと型にとらわれずやりたいので、ジャンルを超えて自分のカラーで咀嚼して形にできればと考えています。

——現時点で思う「自分のカラー」とはどんなものでしょうか。

K’z Tyler:まだまだ探し中なんですけど、いろんなジャンルを自分の色に落とし込む所ですかね。スポンジタイプなので、これからも沢山変化はしていくと思うんですけど、変わらない部分はブレずに持ち続けたい。

上京してからガッツリダンスミュージックにハマったんですけど、踊っていると自然と音が身体に入ってくる感覚があって。長く踊れば踊るほど解放されるし、一種の瞑想みたいになれるんです。自然に行ってストレスから解放されることが多かったけど、そこから「踊らせたい欲」が強くなりました。

9treeで作ったようなエモーショナルな『燈』とか『倫』みたいな曲も作りつつ、めちゃくちゃ爆踊りさせる曲も、自分の音楽で表現できるようになりたいですね。

喜怒哀楽すべての感情を表現したいのもあるし、映画のように全く想像のつかない展開に持っていく、みたいなこともしたい。それで最後のほうで、お客さんがめちゃくちゃ踊りながら、「え、私泣いてる?」ってなってるみたいな。そんなLIVEが出来たらめっちゃカッコいいなって思います。

ワールドカップが世界を熱狂させるように、音楽やアート、スポーツは人を一つにする貴重な存在だと思うんですよね。

どんなに孤独な人や一人が好きな人でも、人とのつながりや解放される瞬間は、どこかで求めていると感じていて。思います。そんな人たちにも、自分のLIVEに来てもらって「行ってよかった」と思ってもらえるような音楽を作りたいですね。

K'z Tyler cover design utage
3rd Single K’z Tyler feat. Joe Cupertino – 『 宴 』

——『-my soul』や『This is my 』という言葉が示すような、「これからの自分」の生き方、在り方について教えてください。

K’z Tyler:アーティストとしても、自分としても「リアルでいたい」と思います。自分の感情をリアルに感じたいし、ちゃんとリアルに表現もしたい。それができれば、おのずと自分の色やスタイルが確立すると思うし、それが濃くなればなるほど、共感してくれる人も少しずつ出てくるかなと。

特に今は、地に足つけて自分を磨く時間だと思ってます。3rdシングルには、この2つの作品を通して得た気づきから「今の自分に必要なもの」「みんなにとっても必要だと思うもの」を落とし込みました。タイトルは“宴”。めっちゃダンスチューンなんですけど、やんわりと「人としての本質」を、自分にもみんなにも問うような楽曲になっています。

K'z Tyler artist photo

K’z Tyler

沖縄県出身・アーティスト/プロデューサー
Instagram

Alternative Hip-Hop Crew”9tree”を共同主宰し音楽キャリアをスタート。2025年から本格的にソロ活動を開始。ジャンルの枠に収まらない感性と、リアルな感情に向き合いながら、独自の表現を追求している。

9treeとしては、キャリア1年目にしてりんご音楽祭2023への出演や、CHOSYU BEATS 2023・2024に2年連続出演するなど、全国各地のFESやイベントにて経験を積む。

2024年に立ち上げたプロジェクト”能登半島地震のチャリティーソング「燈」では、NAGAN SERVERやkeigo、11、KIKUMARUら総勢10人のマイクリレーソングを総合プロデュースし一躍話題を呼んだ。

また、既にソロ名義でどんぐりず「WANI EP」への参加や、その他アーティスト作品にも客演で参加しており、活動の幅を広げている。

2025年6月にソロ名義にて自身初となる1st Single「Ashes Bloom」をリリースし、翌月には2nd Single「Don’t Lose」をリリース。

9月にはDaichi Yamotoや鈴木真美子らとの共作でも話題となった気鋭のラッパー・Joe Cupertinoを客演に迎え、3rd Single 「宴(feat.Joe Cupertino)」をリリースした。

 ¹ K’z Tyler、DAI、Mahaeによる2MC・DJの音楽ユニット。2022年に活動開始し「多面的な代弁者」をテーマに活動。活動1年目にして『りんご音楽祭2023』や『CHOSHU BEATS 2023』に出演。2024年には1月1日発生した能登半島地震・被災者の方々へ向けた、総勢10名のアーティストによるマイクリレーソング『燈』をリリース。同年12月には都内にてリリースイベント『“燈”Release Event -Pray for NOTO- Presents by 9tree』を開催。翌年2025年3月に活動休止を発表し、現在活動休止中。(2025年10月現在) ² 2024年1月1日の能登半島地震震災後『Pray for ISHIKAWA』をテーマにプロジェクトを立ち上げ、総勢10人によるマイクリレーソング『燈』をリリース。2024年12月に恵比寿・TimeOut Café & Dinerにてプロジェクトに携わった全国各地のアーティストらが東京に集うリリースイベントを開催し、パフォーマンスを行った。なお、プロジェクトを通じて得た利益は全額、任意団体「Pockets for NOTO」を通して寄付している。

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